司馬遼太郎さん「 峠(上)」 ★★★★★司馬遼太郎 新潮文庫 ・武門とは秩序美だ。 ・陽明学とは、人を狂人にする。つねに人を行動へと駆りたてている。この思想にあっては、つねに自分の主題を燃やしつづけていなければならない。この人間の世で、自分のいのちをどう使用するか、それを考えるのが陽明学的思考法であり、考えにたどりつけばそれをつねに燃やしつづけ、つねに行動し、世の危機をみれば断乎として行動しなければならぬという、つねに激しい電磁性を帯びたおそるべき思想であった。 ・自分以外に、この世を救えぬという孤独さと悲壮感 ・「いそぐ心があるゆえ、いそぐ」 ・「文字をかくのではなく、文字を彫るのだ」 ・「おれは知識を掻きあつめてはおらん。おれは、知識という石ころを、心中の炎でもって熔かしているのだ」 ・志とは、男子それぞれがもっている人生の主題 「志の高さ低さによって、男子の価値がきまる」 ・「面で察しろ。言葉では、機微がわからぬ」 ・「万物万象はわが心に帰す」 ・「学問とはなにか。心を澄ませ感応力を鋭敏にする道である」 心は万人共同であり、万人一つである。 ・「おれの生命は、おれにとって一個の道具だ」 ・「人間という稼業だ」 ・「人間は、立場で生きている」 ・「気に入ったくだりを、穴があくほどに読むのか」「文字が立ってくるまで読みます」 ・「余事だ」 ・「あいつは私情も私心も捨てているだけでなく、命もすててかかっている。そういう男に、文句のつけようがない」 ・「おれは日々の目的は、日々いつでも犬死ができる人間たろうとしている。死を飾り、死を意義あらしめようとする人間は単に虚栄の徒であり、いざとなれば死なぬ。人間は朝に夕に犬死の覚悟をあらたにしつつ、生きる意義のみを考える者がえらい」 ・「政治とは、本来寒いものだぜ」 ・「情熱とはなにものか」「それは好悪です。好きかきらいか、そういう情念です。理性や打算ではない」 ・「欲得は商人にとっての魂ですから」 ・「離れると、物が見やすい」 「 峠(下)」 ★★★★★ 司馬遼太郎 新潮文庫 ・身を捨てていない ・「涙なんてものはな、いつもおれの腹の底いっぱいにたまっているのだ。しかし心という締め紐があってそれが一滴もこぼれぬようにできている」 ・その死も栄光ある死ではなく賊名を負って死ぬのである。その覚悟はあるか。「その覚悟があってこそ、士というものなのだ」 ・「日本中を焦土にする覚悟でかからねばならない。天下は灰になり、民は苦しむ。しかしその灰と苦しみのなかからでなければあたらしい国家をつくりあげる力は湧いてこない」 ・「兵馬の精強なくして一藩の正義なく、独立なく、自尊なし」 ・「余念を持つな。目と心を一つにしろ」 ・「一案を信ずる以外に道はござらぬ」「一案を採用し、一案を信じられよ」 「 燃えよ剣(上)」 ★★★★★ 司馬遼太郎 新潮文庫 ・「やってみれァ、わかる。これだけは、口ではわからねえ。とにかく、斬られねえようにするより、斬る、ってことだ。一にも先、二にも先、三にも先をとる」 ・「一にも気組、二にも気組。気組で押してゆけば、勝つ」 ・救うも救われぬも、神仏は自分の腰間の剣のみ ・「罪あるは斬る。怯懦なるは斬る。隊法を紊す者は斬る。隊の名をけがす者は斬る。これ以外に、新撰組を富岳の重きにおく法はない」 ・「この隊を支配しているのは、芹沢先生でもなく、新見君でもなく、むろん、不肖近藤でもありません。五体を持った人間は、たれもこの隊の支配者ではない」「士道です」 ・「士道不覚悟」 ・「目あきは不自由なものだな」 ・「あんたは、総帥だ。生身の人間だとおもってもらってはこまる。奢らず、乱れず、天下の武士の鑑であってもらいたい」 ・同門意識 「 燃えよ剣(下)」 ★★★★★ 司馬遼太郎 新潮文庫 ・剣に生きる者は、ついには剣で死ぬ ・(今夜が最後か) むろん、いつの喧嘩のときも、そう覚悟している。命はない、と思いこんで打ちかかる以外に、喧嘩に勝つ手はない。 ・「もってうまれた自分の性分で精一ぱいに生きるほか、人間、仕方がないのではないでしょうか」 ・「これは刀である。刀とは、工匠が、人を切る目的のためにのみ作ったものだ。刀の性分、目的というのは、単純明快なものだ。兵書とおなじく、敵を破る、という思想だけのものである。しかし見ろ、この単純の美しさを。刀は、刀は美人よりもうつくしい。美人は見ていても心はひきしまらぬが、刀のうつくしさは、粛然として男子の鉄腸をひきしめる。目的は単純であるべきである。新撰組は節義にのみ生きるべきである」 ・「どうなる、とは漢の思案ではない。おとことは、どうする、ということ以外に思案はないぞ」 ・「男の一生というものは、美しさを作るためのものだ」 ・政治家がもつ必須用件は、哲学をもっていること、世界史的な動向のなかで物事を判断できる感覚、この二つである。 ・「人間、万世に照らして変わらないものがあるはずだよ。その変わらねえ大事なものをめざして男は生きてゆくもんだ」 ・「天なお寒し、自愛せよ」 ・「五稜郭が亡びてもこの町は残る。一銭でも借り上げれば、暴虐の府だったという印象は後世まで消えまい」 ジャンル別一覧
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